コンドロイチンとは

コンドロイチンのはたらき - カラダのなかの物流管理センター

私たちのカラダは驚くほど精巧で複雑なシステムによって維持・運営されています。生命維持の根幹に関わるコンドロイチンのはたらきも多様で複雑なものになります。したがって、簡単に説明することは難しいのですが、理解を進めるために、コンドロイチンのはたらきをあえて一言で表すとするならば、生命維持に必要な物質の「物流管理センター」ということができます。

1. 「水」をコントロール

物流の中でもコンドロイチンが特に深くかかわっているものは「水」のコントロールです。人体の水分量は、成人男性の場合は約60%、成人女性の場合は約50%といわれています。しかし、この水分は加齢によって徐々に失われていきます。新生児の水分量は約80%、私たちは成人になるまでにすでに多くの水分を失ってきているのです。したがってこの先、若さと健康を保っていくためには、これ以上の水分喪失はできる限り防ぐ必要があります。そこで重要になってくるもの、それがコンドロイチンです。

コンドロイチンを構成している硫酸基とカルボキシル基はマイナスに帯電しているため、1本、1本のコンドロイチンの鎖は互いに反発し、その間に隙間を作ります。コンドロイチンはこの隙間に水の分子を、まるで磁石のように引き寄せることで水分を保持します(図4)。また、コンドロイチンは1本、2本で存在しているのではなく、巨大分子として存在しているため、大量の水分を保持することができるのです。さらに、水分には血液によって運ばれてきた酸素や栄養分などが溶け込んでいるため、コンドロイチンは水分を取り込むことでこれらの成分を各組織に分配するという役割も果たしています。

図4〈 水分保持のメカニズム 〉

図4〈 水分保持のメカニズム 〉


いくらコンドロイチンが私たちの体の中で水分をコントロールしているといっても、実際に目に見えるものではないため、なかなか身近に感じることは難しいと思われるかもしれません。しかしコンドロイチンを身近に感じることのできる「臓器」が、実はひとつあります。それは皮膚です。

私たちの体の皮膚は、平均2ミリの厚さしかありませんが、その総面積は新聞紙8ページ分、総重量は数Kgにもなることから、「人体で最大の臓器」ともいわれ、表面に近い方から、表皮、真皮、皮下組織の3層構造をとっています。コンドロイチンはこの3層構造の真皮の中に存在しています。

真皮はコラーゲン繊維とエラスチン繊維がその大半を占める層で、肌の構造を作るとともに張りや弾力の元となっています。そのため、もし真皮で水分が不足すると、コラーゲン繊維やエラスチン繊維が干からび萎縮してしまい、肌の張りや弾力が失われシワが生じることになります。いわゆる老化の進んだ肌です。
この真皮の水分不足を防ぐ上で重要な役割を果たしているのがコンドロイチンなのです。真皮に含まれるコンドロイチンは、コラーゲン繊維に密に組み込まれていて、必要に応じてコラーゲン繊維に水分や栄養分を供給することで水分不足や萎縮を防ぎ、肌を守ります。

最近少しシワが気になるという方は、もしかすると肌のコンドロイチンが不足しているのかもしれません。

2. 「発痛物質」をコントロール

コンドロイチンの物流管理センターとしてのはたらきは「水」だけにとどまりません。コンドロイチンには、水を磁石のように引きつけるだけではなく、「痛み」も引きつけて除去するはたらきがあります。

あまり知られていないことですが、痛みの発生には「発痛物質」といわれる物質が関与しています。例えば、夜寝ていて突然足が「つる」という経験をされたことがある人は多いと思います。このとき、足の筋肉がけいれんして、その部分の筋肉が痛いのだろうと、何となく思っていないでしょうか。
もちろん、間違いではありませんが、正確には、けいれんによって血管が収縮し血流不足になることで、ブラディキニンやP物質といわれる発痛物質が生成され、この発痛物質の発痛作用によって血管周囲の知覚神経が痛みの信号を脳に送ったということです。つまりこの場合、筋肉そのものが痛んでいるというわけではないのです。
こうした発痛物質は、筋肉痛、腰痛、神経痛、関節痛などの痛みにも関与しています。

コンドロイチンは、これらの痛みの根本原因ともいえる発痛物質を吸着・保管・排出することで、痛み抑えるはたらきがあります。