コンドロイチンQ&A

コンドロイチンや関節症に関するよくあるご質問をご紹介します - 変形性膝関節症についての10の質問

回答者:橋本三四郎(医学博士/ハシモトクリニック院長)

1. 変形性膝関節症(以下、膝OA)は、どのような人に発症しやすいのでしょうか?

最近の調査によると、全世界の人口の約10%が膝OA患者あるいは予備軍であり、特にアメリカとカナダでは、65歳以上(女性)の実に70%で膝OAの症状が見られる、とされています。日本での膝OA患者は1,200万人、治療を要する患者は700万人という推定もあります。男女差を見てみますと、女性の方が多い。様々な原因が考えられますが、食生活の変化に伴う体重増加、とくに下肢筋力(大腿四頭筋)の弱さ、閉経に伴うエストロジェン分泌量の減少などが考えられます。

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2. 変形性膝関節症だと考えられる症状があったとき、まず最初にどうするべきでしょうか?

まずは整形外科医の診療を受けることが必要です。膝関節が痛む場合、考えられる原因は、変形性膝関節症の他に関節リウマチが考えられます。変形性膝関節症と関節リウマチとでは、原因も治療法も異なるため、ご自身の判断で対処されても、あまり効果的でない場合も考えられます。まずは医師による正しい診断を受けて頂きたいと思います。

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3. 治療のアプローチはどのような段階があるのでしょうか?

当クリニックでは、変形性膝関節症の治療を7つのステップに分けて考えています。出来るだけ外科的手段を用いることなく、普段の生活改善によって病状を回復させたいという方針です。

  1. 減量
  2. リハビリテーション
  3. コンドロイチン/グルコサミンの摂取
  4. 装具治療
  5. 消炎鎮痛剤投与
  6. ヒアルロン酸注射/ステロイド剤投与
  7. 手術(人工関節置換術など)

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4. 減量の目安はありますか?

膝関節への負荷は体重が多く影響しています。体重が6kgから7kg増加すると、膝OA発症リスクが10%上昇し、逆に、体重を7%落とすことで約60%の患者で痛みが軽減した、という研究データもあります。当クリニックでは、治療を始める際に患者様に対して、まず体重を5kg落としましょう、と提案しています。

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5. 筋力トレーニングのポイントは何ですか?

膝OA対策として重要なのは、大腿四頭筋(腿の前側の筋肉)の強化です。大腿四頭筋が衰えてくると、上体の体重による膝関節への負荷が大きくなります。日常生活の中でできるトレーニングをお教えします。椅子に座り、大腿四頭筋に力を入れ足全体を地面と水平に保ちます。この状態で10秒間静止します。これを両足、朝晩3セットづつ行ってください。

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6. コンドロイチンやグルコサミンを摂取する際に注意すべき点はありますか?

現在、コンドロイチンやグルコサミンを配合した医薬品やサプリメントが数多く市場に出回っていますが、商品によって実際の含有量や品質にばらつきがあるようです。商品として歴史があり品質の良い医薬品などがよろしいかと思いますが、決して安価ではないため、患者さんには費用負担も含め、細心の注意を払った上でおすすめするようにしています。

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7. 消炎鎮痛剤の服用で注意すべき点はありますか?

消炎鎮痛剤を長期に使用すると肝機能や腎機能障害、上部消化管潰瘍をきたす危険性があります。長期に服用している方は、3-4ヶ月に一度は血液、尿、便等の検査をする事が必要です。副作用を軽減するためには、常時服用するより、痛みの強いときに頓服するほうがよいでしょう。

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8. ヒアルロン酸注射やステロイド剤を使用する際に注意すべき点はありますか?

ヒアルロン酸の注射は週に一度、5-10回続けて行うやり方が基本です。関節の動きをスムーズにし、痛みを軽減してくれます。効果は通常、注射を始めて数週間後に現れます。一方、ステロイド剤は速効的に痛みや炎症を抑える効果があります。しかし打ちすぎると、かえって関節を壊してしまうこともあるので、多くても月に一回くらいにしておいた方がよいでしょう。

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9. 人工関節置換術とは、どのような手術ですか?メリットとデメリットを教えて下さい。

人工関節置換術とは、症状が進行した変形性膝関節症の膝の一部または全部を人工関節と置き換える手術です。メリットは、痛みがほぼ完全に取り除けることで、デメリットは術後の感染症の危険性や、人工関節器具の耐用年数の問題です。ただし、現在では技術的進歩により浸潤(手術時の切開)も最小限に抑えることができますし、人工関節器具も改良が進み、メンテナンスを怠らなければ20年近くは問題なく機能します。人工関節置換術については、十分な安全性が確保されているため、必要以上に恐れる必要はありませんが、やはり他の治療法で対処しきれない際の最終的な手段であることは憶えておいて下さい。

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10. 普段の対処法として、膝関節が痛む場合、暖める方が良いのでしょうか?それとも冷やす方が良いのでしょうか?

炎症や腫れがある場合は患部を冷やすことを優先してください。そうでない場合は、暖めても冷やしても、症状が和らぐと感じられる方で結構です。

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