変形性膝関節症とコンドロイチン

変形性膝関節症とは - 毎年90万人が発症

変形性関節症は、関節軟骨の変性、摩耗を特徴とする慢性疾患で、人間に限らず、ほぼすべての脊椎動物にみられる疾患です。その歴史も古く、ネアンデルタール人やエジプトのミイラからも症状が確認されています。日本国内には約700万人〜1000万人(関節リウマチの10倍)の罹患者がいると推定されています。

変形性関節症は、40歳を過ぎた頃から膝や股関節などの体重のかかりやすい部位や腰、首、指に起こりやすい一次性変形性関節症と、40歳以前に外傷や関節弛緩、関節感染症、代謝異常などによる起こる二次性変形性関節症がありますが、その多くは一次性変形性関節症とよばれるものです。発生した場所によって、変形性股関節症、変形性肘関節症、変形性膝関節症などに分けられます。

そして変形性関節症の中で最も多く見られるものが、変形性膝関節症です。変形性膝関節症は、膝関節でクッションの役割をしている関節軟骨が磨耗したり、変性したり、退化したりすることで関節の変形が進む疾患で、40代以降の女性に多く見られます。症状が進むにつれて激しい痛みを伴い、末期になると歩行すら困難になるため高齢者の生活の質(QOL:Quality of Life)の著しい低下につながります(表5)。
日本では毎年新たに90万人が発症しているという驚くべき報告もあり、変形性膝関節症は、今後急速に高齢化が進む日本社会の大きな課題のひとつといえるのかもしれません。

表5(変形性膝関節症のリスク要因)

変形性膝関節症のリスク要因
肥満 歩行しているだけでも体重の3倍もの荷重が膝にかかります。体重が5kg増えれば膝への荷重は15kg増えることになります。
膝の使いすぎ
(過度のスポーツなど)
スポーツの動作(ダッシュ、ストップ、ジャンプ等)は膝をひねりやすく、捻挫などを起こす可能性が高まります。捻挫すると関節軟骨は傷つきやすくなります。
O脚、X脚 O脚やX脚は膝にかかる荷重が偏りやすいため、その部分の関節軟骨が傷ついたり劣化しやすくなります。
太ももの筋力低下 太ももの全面にある大腿四頭筋は体重を支える筋肉です。この筋肉が衰えると関節軟骨が傷ついたり劣化しやすくなります。

*WHO「Healthy Life Expectancy2002」より