なぜ、今コンドロイチンか

骨と関節の時代 - 見直される骨と関節

日本人の平均健康寿命は世界保健機関(WHO)加盟192カ国中第1位(WHO『Healthy Life Expectancy 2002』より)。これは単に寿命が長いことだけによるものではありません。寿命から差し引くケガや病気の期間の短さを見ても、男性が第4位、女性が第1 位となっていて、私たち日本人が世界で一番健康で寿命が長い民族ということは、どうやら間違いのないことのようです。
しかし私たちは、果たしてそのような実感を持っているでしょうか?実際に家族や親族、友人の最期の期間はご本人にとっても、あなたにとっても長くて苦しいものだったのではないでしょうか?
それもそのはず、日本人の平均健康寿命を算出する際に寿命から差し引かれるケガや病気の期間は(世界的に見れば短いといっても)、男性で6.1年、女性で7.5年にもなるのです(表4)。
この約6〜7年の期間を他の国と比べて長い/短いという議論は、疫学的な統計データとしての意味はあっても、一度きりの人生を生きている私たちにとってはあまり意味がないこと、といえるのかもしれません。
平均健康寿命を見て、私たちが考えなければいけないのは、「あぁ、日本人は病気やケガの期間が6〜7年で短くて良かった」ではなく、「どうすればこの病気やケガの期間を少しでも短くできるのか」ということではないでしょうか。
このような中で見直されてきたのが、骨と関節の重要性です。骨と関節は、精神的、肉体的、またQOL向上という点からも重要とされ、現在世界的規模で骨と関節の健康を守るためのさまざまな取り組みが始まっています。

表4〈 ケガや病気の期間の一覧表 〉

加盟国 健康寿命(年齢) ケガや病気の期間
男 性 女 性
1 日本 75 6.1 7.5
2 ドイツ 71.8 5.9 7.6
3 スペイン 72.6 6.2 7.7
4 イタリア 72.7 6.0 7.8
5 スウェーデン 73.3 6.2 7.9
6 ルクセンブルグ 71.5 6.4 8.0
7 フィンランド 71.1 6.1 8.0
8 マルタ 71.0 6.2 8.0
9 サンマリノ 73.4 6.3 8.1
10 スイス 73.2 6.6 8.1

*WHO「Healthy Life Expectancy2002」より

1. 「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)

そのひとつの大きな取り組みが「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)です。
「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)は、運動器系障害の予防・克服に挑戦する世界的運動で、1)運動器障害の実態を、世界各国と協同して調査し、患者、家族、職場、社会や経済に及ぼす負担を把握し、これを社会に知ってもらう、2)患者や市民と共に学び、患者や市民に、自らの運動器の健康管理に、より積極的に参加してもらう、3)質の高い、経済効率の良い治療・予防法を広く実施する、4)より本質的な治療・予防法の開発のための基礎研究を推進する、ということを目標として、1998年にスウェーデンのルンド大学ラース・リドグレン教授によって提唱された運動です。
1999年には国連のアナン事務総長の支持を得て、2000年に世界保健機関(WHO)によって正式に発足が宣言されました。現在、「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)には、日本をはじめ世界95カ国、750を超える関連学会が参加し、骨と関節の健康維持と増進に向けたさまざまな活動が行なわれています。

2. 「関節炎と戦う同盟」「世界関節症の日」「関節症ウィークエンド」

骨と関節の健康に対する取り組みは、「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)だけではありません。
スイスに本部を置くNPO 団体EULAR(European League Against Rheumatism)では関節症をテーマとした「関節炎と戦う同盟」(AAA:Alliance Against Arthritis)を立ち上げ、EU議会に対して関節症、リウマチ系疾患に対してする配慮や研究資金の支援を検討してもらうためのロビー活動など活発に取り組むとともに、2004年からは欧州20カ国で毎年10月12日の「World Arthritis Day」(世界関節症の日)に合わせて、各地で関節症に関する情報提供や啓蒙活動を実施しています。

他にもスイスのNPO 団体ロイマリガ・スイス(Die Rheumaliga Schweiz)では、2005年のWorld Arthritis Day に先立ち、アッペンツェル地方のハイデンという町で「関節症ウィークエンド」というイベント(テーマ「体を動そう―でも、どんなふうに?体重管理や食事、早期診断、予防、治療法」)を行うなど、世界規模、国家規模の取り組みだけではなく、地域社会と一体になった取り組みも行われています。
このように、2000年にスウェーデンから発信された「The Bone and Joint Decade」(運動器の10年)は、10年の半ばを過ぎて、日本をはじめ世界各地で根付き始め、残り5年の活動に更なる期待が寄せられています。