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INTERVIEW - インタビュー

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INTERVIEW No.1

「医療現場とコンドロイチン」

医学博士/ハシモトクリニック 院長
(日本整形外科学会認定医/日本リウマチ学会登録医)

橋本 三四郎・はしもと さんしろう

1962年山口県生まれ。89年産業医科大学卒。同年、久留米大学整形外科入局。94年、久留米大学大学院卒。95年、カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。97年、スクリプス研究所勤務。99年、同所主任研究員。2000年、新宿パークタワークリニック勤務。2001年、ハシモトクリニック開業。
国際変形性関節症学会:Young Investigator Award(1998)
全米リウマチ研究財団:Senior Rhematology Schola(1998)
国際軟骨移植学会:Volvo Award(2000)


主な著書

「こうすれば骨粗鬆症は防げる!」(同朋舎)
「医師がすすめる減インスリンダイエット」(マキノ出版)

ここ数年コンドロイチン/グルコサミンは変形性関節症 専門用語アイコン による膝痛の治療薬やサプリメントとして世界中で広く使われています。しかしその鎮痛作用については効果ありとする報告と効果なしとする報告が混在し議論となっていました。そこで2年前からアメリカ国立衛生研究所が中心となり大規模な臨床試験が行われ、昨年11月アメリカリウマチ学会で発表されました。
その結果、コンドロイチン/グルコサミン混合剤は消炎鎮痛剤よりは弱い効果でしたが、偽薬と比べて有意な鎮痛効果があることが示されたのです。発表は学会のメイン会場で行われましたが、会場は多くの人であふれかえり、参加した医師、研究者の関心の高さがうかがわれました。
さらに学会最終日にはコンドロイチン研究のシンポジウムが開かれ、スイスのグループからはコンドロイチンを長期服用した結果、軟骨のすり減りは偽薬を用いたコントロール群に比し有意に抑制されており、長期服用でもほとんど目立った副作用は認めなかったというコンドロイチンの有用性を示す報告がなされました。

現在、私のクリニックに通われている方の約30%は変形性膝関節症 専門用語アイコン による膝痛の方です。これらの患者さんに我々は1)レーザー、干渉波、大腿四頭筋訓練等の物理、理学療法 2)鎮痛剤やヒアルロン酸ナトリウム製剤関節内注射などの薬物療法 と共にコンドロイチン/グルコサミンを使用しています。
コンドロイチン/グルコサミン療法のメリットは上記のようにほとんど副作用がないと言う事と軟骨のすり減りを予防する可能性があると言う事です。そのかわり痛みを抑える効果は他の消炎鎮痛剤のような即効的な作用はなく、効果発現までに数週間かかります。
そこで治療開始時には鎮痛剤や関節内注射と併用し徐々に痛みが軽減してくれば、鎮痛剤を止めてコンドロイチン/グルコサミンとリハビリテーションを中心に治療を継続していきます。こうする事で副作用を最小限にし、痛みを効率的にとることができます。

軽症-中等度の例ではこのような治療法でかなり痛みを取る事ができますが、進行例では効果不十分のため人工関節置換術が必要となる症例も多くなります。変形性膝関節症 専門用語アイコン においても他の疾患と同様に病気の予防、早期発見、早期治療が必要です。